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警察へりは救急車ではない

yamabiko2 先週、信州の山域で、病気と言うより体調不良等で四名が長野県警のヘリで救助されている。

 山岳遭難で救助を要請することは、決して否定されるものではない。そのタイミングも大事なことだと思います。

 しかし、防ぐことが出来たと思われることもあります。タイトルの「救急車ではない」では、救急隊に失礼な言い方かもしれない。

 救急車の利用でも、タクシー代わりに利用する人も現実にいるようです。救急車でも適正な利用が求められる現状であります。


 さて、先週発生した県警ヘリによる救助案件ですが、概ね次のとおり

①7月10日、3人で湯の丸山周辺へ登山をして、湯の丸山山頂から地蔵峠へ下山中、神奈川県の72歳男性が両足をけいれんし行動不能になり救助要請。

②7月11日、2人で八ヶ岳連峰阿弥陀岳に登山後、中岳付近から下山中、兵庫県の63歳男性が胸の痛みで動けなくなり救助要請。

③7月12日、京都府の50歳の男性が、単独で中ア空木岳から極楽平に向け縦走中、昨夜からの連続山行で疲労し動けなくなり救助要請。

④7月12日、東京都の25歳に男性が、中ア木曽駒ケ岳の濃ヶ池付近の雪を踏み抜いた拍子にギックリ腰となり動けなくなったと、同行者が救助要請。



 以上が、先週発生した急病などによる救助事案です。

 
 ここで一言二言言わせてください。

 ①の事案ですが、湯の丸山あたりの山歩きで足をけいれんしているようでは、北ア、南ア、八つなどの山にはとても行けませんね。
 
 二人の同行者により、けいれんへの対処はどのように行われたのでしょうか。
 まさかこんな山でけいれんするなんて想定もしていないから、なんの準備もしていなかったかもしれません。

 症状や現場の状況を知らないで失礼な言い分かもしれませんが、適切な対処方法を知っていれば、もしかすれば症状を緩和させたり又は解消することにより自力下山が可能となったかもしれません。

 足がけいれん(つる)する原因は、筋肉の疲労、睡眠不足、ミネラルの欠乏、ストレスなどがあるようです。
 
 いずれも対策がとれるもので、登山の前日や当日は特に注意すべきでしょう。
 
 こむら返り(つるなど)予防の漢方薬が、ドラックストアで売られているようです。効果のほどは不明ですが、一つの予防にはなるかもしれません。
 

 私も山スキーなどで足がつったことがあります。

 白馬乗鞍岳の山スキーでは、両足の太もも(裏表)とふくらはぎを同時につってしまい、あのときは本当に参りました。

 それでも苦痛に耐え、なんとか自力で対処し症状を緩和させ、自力滑走して下山できたわけです。

 スキーには自信がありますから、骨折しても自力下山するつもりでいます。これは片足スキーの成果ですね。

 足をつった場合、その部位ごとに、どのように伸ばしたらよいか、マーサージはどうのようするかなどの知識があれば対応できることもあります。

 痛みを和らげたり、炎症を抑えるために、ファーストエイドとして、バンテリンやテーピングテープなどは常にザックに入れておくことも大事です。


 ③の空木岳の事案ですが、夜通し歩いて疲れて動けなくなったから救助してでは、長野県にヘリが何機あっても足りません。

 自分の体力や技術にあった山行計画を立てることは、山に入る以前の問題です。過信は禁物です。


 ④の雪渓でのぎっくり腰ですが、この時期の雪渓は注意しなければいけません。単なる残雪だと思って甘く見てはいけません。
 
 避けられる危険は避けるべきです。どうしても雪渓をトラバースなどで通過しなければならない時は、アイゼンやピッケルなどの装備は必須でしょう。


 先日もこの雪渓で、20代の男性が、アイゼンの装着なし雪渓に入り、固く締まった雪渓にビビッてしまい身動きできなくなって救助を要請する事案も発生しています。

 冬季の間に何メートルも積もった雪が、凍結融解を繰り返し固まった雪渓は危険地帯です。
 むしろ冬より厄介かもしれません。軽登山靴ではキックステップが出来ないことも当然ありえます。


 民間の救助へりによる死亡事故以来、民間ヘリによる救助活動がほとんど行われなくなり、山岳救助は県警へりと消防防災へりにより分担して行っているのが現状です。

 公共のヘリは無料だからと言うことで、なんでもかんでも呼ばれては困りものです。
 県警へりや消防防災ヘリは、長野県民の税金で運行されています。

 救急車の適正利用も問題となっている昨今、山岳における救助要請のあり方やセルフレスキューについても学んでほしいと思います。

 山で病気やけがをしないために、事前の準備や計画、山での行動はどうであるべきかも重要なことではないでしょうか。

 あまりにも軽率な行動による事故、現場で対処できるような軽症などによる救助事案が増加すれば、山岳救助にヘリコプターを利用する場合の有料化の議論が再燃するかもしれません。


アルプス1 参考までに、長野県が所有する消防防災ヘリコプター「アルプス」は、『ベル412』という型式のへりを使用しています。

 このベル412の場合、どの程度費用がかかるのか、ちょっと試算してみます。

 燃費は、通常1時間当たりジェット燃料を430リットルから440リットル消費します。(搭乗者を含む総重量や飛行する高度によっても燃費は変わる。高度が高いほど燃料消費が多くなる。)

 ジェット燃料の単価を145円とした場合、1時間あたり63,800円(145@×440L)となる。

 アルプスの基地は信州まつもと空港のため、現場が北アルプス北部エリアだと所要は片道20分。

 救助活動を30分、病院搬送に30分、基地からの往復40分を足すと1時間40分となり、燃料代は106,000円。

 燃料代だけなら大したことはないように思えますが、このほか出動にかかる経費として、操縦士、整備士、救助隊員の人件費(出動手当など)、機体の減価償却費、維持管理費(飛行時間が影響する)などが必要。

 救助活動が長時間に及ぶような場合は、給油用燃料運搬車や電源車が地上でサポートしながら活動をすることになり、さらに経費がかさむことになります。


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