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長野県が登山安全条例の骨子案発表

 長野県は、「長野県登山安全条例(仮称)の骨子(案)」を公表し、意見の募集を始めた。
 指定登山道通行者に登山計画書を義務化する方向に。

 「長野県登山安全条例(仮称)の骨子」(案)を拝見し、他県、特に岐阜県の条例と見比べてみた。


 まず「目的」であるが、

 他県は、遭難防止や捜索活動のためにとしているものが多いが、長野県は環境保全や安全登山、山岳県としての観光地づくりのためにというところが考慮されている。

 「定義」では、登山計画書の提出義務化のために、「指定山岳」、「指定登山道」を定義づけしている。この「指定」がポイントだ。

 「登山者」の定義はほぼ同じ。

 「登山者の責務」の他に「県の責務」も求めている。

 「山岳遭難防止対策協議会の役割」、「信州登山案内人等の山岳ガイドの役割」、「山岳関係者の役割」及び「ツアー登山を実施する旅行業者の役割」まで求めようという考えは、他県の条例とは全く違う。

 また、「安全な登山のための環境整備」でも県が役割を果たそうとしている。

 「山岳遭難者の捜索及び救助」では、県が捜索及び救助を行うものと意気込みが感じられる。

 「活火山における登山者の安全確保」でも、県が行う措置を定める。

 「山岳保険への加入」では、登山者に保険に加入するよう努力義務を課そうとしている点は他に類を見ない。


 なんと言っても大きな違いは、登山計画書を義務つける対象となる登山である。

 他県は、登山計画書の義務は、特に危険な山域や活火山への入山(ルートの規定は、群馬県の谷川岳を除きないと思う)としているが、長野県は「指定登山道」を通行する場合としている点だ。

 長野県の「指定登山道」を通行する場合とはどういう場合となるか、現段階では解釈が不明である。

 この「指定登山道」を通らず入山すれば、提出は必要ないのかと疑問も生まれる。

 穂高連峰などを例にとれば、上級者に人気の地図にないルートなどはどう扱うのか、この点も現時点では不明である。

 細かい事であるが、登山計画書への記載事項で、岐阜県は持参する食糧の記載も求めているが、長野県は特に届出事項としていない。

 あと気になる点は、登山計画書の提出義務化は、登山者への自己責任という部分の自覚を促す効果も狙っていると思うが、御嶽山噴火災害の救助活動で苦労した経験から、登山者の把握を迅速に行う目的が大きいと思う。

 そうなると、災害時に誰が山にいたのかの把握が必要である。そのためには、特に活火山においては、下山届とセットでの対応が必要ではないだろうか。今後の議論を見守りたい。

 登山計画書提出不履行に対する罰則規定は、当初示された知事の意向のとおり設けられない方向のようだ。


 この骨子案に対する意見は、平成27年7月28日(火)までに、次のいずれかの方法で提出できる。皆さんもいろいろな立場から考え、よりよい条例となるようご検討をしてみましょう。

【郵送】〒380-8570(住所記載不要) 長野県 観光部 山岳高原観光課 あて
【ファックス】 026-235-7257
【電子メール】 mt-tourism@pref.nagano.lg.jp

 意見書の様式は、こちら意見書様式.docx



 条例骨子案の全文は以下のとおり


【長野県登山安全条例(仮称)の骨子(案)】


1.目的
 この条例は、登山の安全に関し、県、登山者及び山岳関係者等の責務等を明らかにするととも に、登山を安全に楽しむための施策の基本的な事項を定めることにより、山岳遭難防止施策、山 岳の環境保全及び適正利用施策、山岳遭難者の捜索及び救助施策並びに火山災害防止施策の推進 を図り、もって快適で安全な登山及び日本を代表する山岳県にふさわしい観光地づくりに寄与す ることを目的とする。

2.定義

(1) 「山岳」 里山(人により利用若しくは管理がなされているか又はこれらがかつてなされ ていた身近な森林をいう。)を除く山岳をいう。

(2) 「登山者」 山岳を登山する者(ただし、遊歩道を通行する者を除く。)で次に掲げる者 以外のものをいう。

ア 山岳遭難者の捜索救助活動及び非常災害に対処するための活動並びにこれらの活動に係 る訓練に従事する者

イ 山小屋(避難所及び売店等の施設を含む。以下同じ。)の運営に従事する者

ウ 山岳内の森林の整備又は伐採に従事する者

エ 山岳に所在する索道施設の管理運営業務に従事する者

オ アからエに掲げる者のほか、山岳内において、公益性が高いと認められる事業又は業務 で規則で定めるものに従事する者

[規則で除外する者]
・国立公園、国定公園及び県立自然公園の管理業務
・有害鳥獣捕獲業務
・公共工事の施行又は管理の業務 ・放送法、電気事業法、電気通信事業法に基づく業務に用いられる設備又は工作物の設置、 維持、解体その他の工事

(3) 「山岳関係者」 以下に該当する者をいう。

ア 登山の普及及び振興を目的に結成された団体

イ 山小屋事業者

ウ 索道事業者

エ 登山用品販売事業者

(4) 「指定山岳」 登山に要する体力、登山の技術的難易及びその他の事情を考慮し、規則で定め るものをいう。

(5) 「指定登山道」 指定山岳内にある登山道のうち、知事が定める区間をいう。

3.県の責務
県は、登山を安全に楽しむための施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

4.登山者の責務 登山者は、登山が常に遭難の危険を伴う行動であること及び登山は自己の責任において実施 することを認識し、安全な登山に努めるものとする。

5.登山者の遵守事項 登山者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 山岳の特性を知り周到な準備をすることが遭難の未然防止につながることを認識し、登山 計画を作成すること。

(2) 季節及び気象状況に応じた服装を用い及び必要な装備品を携行すること。

(3) その他知事が別に定める事項

6.山岳遭難防止対策協会の役割
長野県山岳遭難防止対策協会及び地区山岳遭難防止対策協会は、県及び市町村と連携し、山 岳遭難の未然防止並びに山岳遭難者の捜索及び救助に努めるものとする。

7.信州登山案内人等の山岳ガイドの役割
信州登山案内人等の山岳ガイド (登山者に付き添って案内を行うことを業とする者をいう。 以下同じ。)は、登山技術の向上並びに登山並びに山岳に係る地理的及び自然的特性等に関する 知識の取得に励み、登山者に対して山の魅力を伝えるとともに、的確な判断のもとに、登山者 の安全確保に努めなければならない。

8.山岳関係者の役割

(1) 山岳関係者は、県及び山岳遭難防止対策協会等と連携し、登山者に対する安全な登山のための情報の提供に努めるものとする。

(2) (1)のほかに山小屋事業者は、県及び山岳遭難防止対策協会等が実施する山岳遭難者の捜 索及び救助に協力するものとする。

9.ツアー登山を実施する旅行業者の役割

(1) ツアー登山(登山を目的とする企画旅行をいう。以下同じ。)を実施する旅行業者は、自 らが実施するツアー登山に参加する登山者の安全確保に努めなければならない。

(2) ツアー登山を実施する旅行業者は、当該ツアー登山に登山に関する十分な知識、技術及び 経験を有する山岳ガイドを同行させなければならない。

10.市町村との連携協力

(1) 県は、登山を安全に楽しむための施策の実施に当たっては、市町村と連携するものとする。

(2) 県は、市町村が実施する登山を安全に楽しむための施策に協力するものとする。

11.基本的施策

11-1.安全な登山に関する啓発活動の推進及び山を楽しむための情報の提供

(1) 県は、登山を安全に楽しむための指針を策定し、登山者に対し登山の安全に関する情報の 提供その他登山者に対する啓発活動を推進するものとする。

(2) 県は、(1)による指針を定めようとするときは、あらかじめ、登山者及び山岳関係者等の 意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(3) 県は、登山者が自らの体力、技術等に応じた登山をできるようにするため、山岳ルートの グレーディング(登山に要する体力、登山の技術的難易による評価をいう。)の実施その他の 必要な措置を講ずるものとする。

(4) 県は、登山者に対し山の魅力を伝え、山を楽しむための情報を提供するものとする。

11-2.安全な登山のための環境整備

(1) 県は、県内の豊かな山岳環境を維持し、登山者の安全を確保するため、国、市町村及び山 小屋事業者等(「山域の関係者」という。以下同じ。)と協働して、山岳の環境保全と適正利 用の方針を策定するものとする。

(2) 県は、地域ごとの山域の関係者が当該山域の将来像に応じて実施する登山道及びその他必 要な施設の整備を支援するものとする。

(3) (2)の山域の将来像は、(1)の山岳の環境保全と適正利用の方針にのっとり、地域ごとの山 域の関係者が定めるものとする。

11-3.山岳遭難者の捜索及び救助 県は、山岳遭難者の生命及び身体を保護するため、山岳遭難者の捜索及び救助を実施するも のとする。

11-4.活火山における登山者の安全確保 県は、国及び市町村と連携し、火山災害から登山者の安全を確保するため、次に掲げる措置 その他の必要な措置を講ずるものとする。

① 市町村による噴火時における登山者の避難計画の策定に対する支援

② 関係市町村及び登山者に対する火山情報の提供

③ 市町村等が実施する火山災害に備えるために必要な施設及び設備の整備の支援

12.登山計画書の届出

(1) 登山者は、指定登山道を通行しようとするときは規則で定めるところにより、次の各号に 掲げる事項を知事に届け出なければならない。

① 登山者の住所及び氏名

② 登山の期間及び行程

③ 装備品の内容

④ 緊急時における連絡先

⑤ その他、規則で定める事項

(2) (1)にかかわらず、当該登山者が当該各号に掲げる事項を記載した登山届、入山届その他 の書面を長野県と隣接する県にある行政機関又は届出協力団体(登山計画書を広く登山者か ら受け付ける団体で規則に定めるものをいう。)に届け出たときは、知事に届け出たものとみ なす。

(3) (1)及び(2)の場合において、複数の登山者により構成される集団が同一の行程で登山する ときは、当該集団を構成する登山者のうち一人の者がこれを代表して届け出ることができる。

(4) 県は、登山計画書を提出しやすくするための必要な措置を講ずるものとする。

13.事務の委託 知事は、「12.登山計画書の届出」の規定による届出の受理、当該届出に係る事実の確認のた めの措置その他の当該届出に係る事務の一部を知事が指定する者に委託することができる。

14.山岳保険への加入 登山者は、登山しようとするときは、山岳保険(山岳遭難者の捜索救助費用に充てるための 保険(共済その他互助制度を含む。)をいう。)に加入するよう努めるものとする。

15.財政上の措置 県は、登山を安全に楽しむための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努 めるものとする。


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