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九死に一生 二度目はない

画像 今年に入ってから、ある共通点をもつ二人の女性が山岳遭難で亡くなっている。
 二人に共通することとは、以前にも過遭難事故にあって、九死に一生をえていたこと。

 この二人の女性の遭難事故とは次のもの。


 5月3日、北アルプスの前穂高岳の落石事故で亡くなった44歳の女性の場合。
4年前、谷川岳で雪崩に巻き込まれ右足を骨折したが命は助かった。
 
 
 1月5日、南アルプスの北岳に登山中に滑落し、2700m付近に倒れているところを発見され死亡が確認された教員の女性の場合。
 6年前、北アルプス西穂高岳で滑落し、左足にピッケルが刺さるなどの重傷を負ったものの命は助かっている。

 
 二人は、1回目の遭難事故で命を落としてもおかしくない事故に合い、まさに九死に一生をえたのだ。

 事故後は、山をあきらめきれずに、また山歩きを始めたわけだが、当然、二度と遭難しない心がけ、準備も万全で入山したはず。
 でも、結果として前回の遭難の教訓は生きなかったことになる。


 羽根田治氏が書いた「ドキュメント 生還」の冒頭で紹介されている特異な遭難事故を要約し紹介したい。

 
 ちょっと古いので時代背景も違うと思うが容赦願いたい。


 1969年に北アルプスの西穂高岳で、若い女性二人が亡くなった遭難事故がある。

 この遭難は、一度目も二度目も同じ山の同じ場所で、それも二年連続という特異なもの。



 1968年昭和43年7月7日、中学校の同級生で24歳の女性二人が上高地へ旅行をしていて、朝のハイキング中に行きあった登山者から聞いた西穂高岳のお花畑の話に感動して、軽装のまま上高地から西穂を往復しようと考えてしまった。

 散策のつもりが、絶好の天気とお花畑につられ午前7時半ころ登山を始める。
 装備は、ナイロンの合羽、カメラ、水筒、チョコレート、ビスケット、キャラバンシューズでその他の荷物は宿に置いてあった。

 所要時間4時間とのことで、予約した午後2時10分のバスには十分間に間に合う計算だった。
 西穂山荘に着いたのが午前11時と予想外に時間がかかったので、5分ほどで下山を始める。

 二人には西穂の登山ルートの知識も地図もなく、西穂への登山ルートは上高地からのルート以外にはないと疑わず行動している。

 下山は、赤ペンキの道標(実際は官民の山の境界標だった)に導かれ、飛騨川の千石尾根にそって下り続ける。
 そして2mの熊ササの中入り込み遭難したことを自覚する。

 ルートを探しているうちに二人は離れ離れになり、別々に行動することになる。

 一人は、まもなく滑落し、二三日気を失っていたという。目が覚めた後三日ほど動かず救助をまったが、自力で下山すること決意する。
 
 遭難から8日目、外ケ谷(飛騨川の深い谷で、ロープウェーの南側)の工事現場に何とかたどり着き、翌16日に救助される。

 これにより、捜索は上高地一帯を中心に行われていたが、飛騨側の外ヶ谷に変わる。

 遭難から11日目の7月18日、捜索隊は、大きな滝の上に呆然としている女性を発見する。
 滝に出くわし進退窮まり岩穴で救助を待っていたと言う。
 発見された日は、今日で捜索打ち切りとした最終日であったという。


 このニュースは、二人の女性が9日間と11日間生き延びたということで、当時のテレビで大々的にとりあげられたという。

 ここからが本題である。

 この二人は、翌年(1969年)5月、遭難現場を見に行くと言って、再び上高地から西穂に入山した後行方不明となり二度と戻ってこなかった。

 二人が発見されたのは、遭難から1年以上経過した1970年の7月で、前回の遭難と同じ飛騨側の外ヶ谷の上流で、土砂に埋まった状態だったという。

 そして、千石尾根に穂高ロープウェイが開通したのも1970年7月である。とても皮肉なことだ。


 今では、ロープウェイを利用すれば、稜線上にしっかりした登山道が西穂山荘まで続いているだから、もう少し早く完成していればと思うのだが。
(上の写真は穂高ロープウェイ。同社HPより)


 この遭難は、今から45年も前の話しであるので、時代背景や装備も違い、必ずしも現代に当てはまるとは思わないが、いかに準備や装備のない思いつきの登山が危険かと言うこと。

 良くあることだが、登山中に他人から聞くことは全てをうのみにせず、自分で地図などで確認することが大事だと言うことだ。

 話しをする方もこの点は十分に注意しなければならない。


 やはり遭難事故で助かった場合は、よほど慎重に行動しなければいけないということだろう。常に初心というか、事故の苦い経験を忘れず山をあるくということだろう。
 


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