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「長野県登山安全条例」成立へ

 長野県は、より安全な登山のために「長野県登山安全条例」案を、現在開会中の長野県議会に提案した。
 今は委員会審議中であるが、先日の本会議では、特に目立った反対意見も出ていないことから、今議会中に可決成立する見込みだ。

 長野県が提案した「長野県登山安全条例」案は、県や関係機関の責務や役割、登山者の遵守事項などが盛り込まれている。

 具体的には、遭難の発生の可能性が高い山岳のルートを指定し、登山計画書の提出も義務付けている。

 また、登山道整備の促進、火山へのシェルター等の整備なども盛り込まれた総合条例となっている。

 登山計画書の提出の義務付けは、ルートの指定や周知期間を経て、来年7月1日を予定している。(条例成立後)


 条例案の中身は次のとおり

 「登山者等の責務」(第4条)について、登山が常に遭難の危険を伴うこと、及び登山は自己の責任だということを認識し、安全な登山に努めるよう求めている。

 「登山者等」と「等」が付いているのは、登山をしようとしている者が含まれているから。


 「信州登山案内人等の登山ガイドの役割」(第8条)について、山岳に係る地理的及び自然的特性等並びに登山に関する知識の習得、登山に関する技術の向上に努めること。
また、山岳の魅力を伝え、登山者の安全を確保することを求めている。

 「信州登山案内人」とは、長野県独自の制度で、条例により、県知事の登録を受けた登山ガイドである。
 登山ガイドに必要とされる一般的な知識や技術はもちろんのこと、長野県の山々、山小屋の歴史や文化などの知識を有している者で、約500人が登録されている。
 信州の山岳に登山する際には大いに活用してほしいところ。

 「ツアー登山を実施する旅行業者の役割」(第9条)として、ツアー参加者の安全確保に努め、登山に関する十分な知識、技術及び経験を有する「登山ガイド」を同行させることを求めている。

 当然と言えば当然であり、条例で明記した意義は大きいのだが、旅行業者に係らずツアー登山を行う者(グループ)にも踏み込んでもよかったのではないか。
 営利を目的に行うツアー登山やガイド登山については、「白馬岳ツアー登山遭難死亡事故裁判」でも引率ガイドが問われたように、対価を得て行う(参加者からすればお金を払って)ガイドはそれだけ責任も重いということなのだろう。

 そして、ガイドの定義を本条例では「登山に関する十分な知識、技術及び経験を有する『登山ガイド』」としているが、ガイドの資格については規定がなく、日本山岳ガイド協会のガイド資格を言うものではない。あくまでも、「登山に関する十分な知識、技術及び経験を有する者」ということである。
 なお、「山岳ガイド」と区別して『登山ガイド』としたことには意味がある。

 第11条には「登山者等の遵守事項」が規定されている。
①登山計画書を作成すること。
②季節、気象状況に応じた服装と必要な装備を携行すること。
③条例に基づくガイドラインに定められたこと。
 

 「登山計画」を作成せよとなっているが、第21条で「登山計画書の届出」を義務付けている。
 登山しようとする者は、「指定登山道」(ルート)を通行しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、計画書を知事に届出ることになる。

 「指定登山道」は、山を安全に楽しむための指針(ガイドライン)で今後指定されるが、遭難の発生の恐れが高いと認められる山岳(近年の遭難事例や「信州 山のグレーディング」の基準を用い、遭難の危険性が高い山岳)の登山道(登山口~山頂まで)だという。

 登山計画書へは、「住所・氏名」、「期間・行程」、「装備品」、「連絡先」などの記載を求められる。

 規則で届出方法などが示されるだろうが、登山口のポスト、県警へのFAXやメール、コンパス、そして新たに検討しているコンビニのマルチコピー機からの提出などが想定される。

 そして、この条例には罰則規定はないので、無届者も罰せられることはない。


 長野県条例の特徴は、「山岳保険への加入」(第22条)を求めていることだ。
 「山岳を登山しようとする者は、山岳保険に加入するよう努める」と規定されている。

 先日の信濃毎日新聞の記事にあったように、遭難して救助されたにも係らず、救助費用の支払いを拒んでいる者もいるとのこと。保険に入っていれば、支払いを拒むこともないだろう。 

 長野県条例は、他県のように登山計画書の提出義務だけを規定したものでなく、県をはじめとする関係機関の役割を明確にするとともに、信州の山岳での登山が安全に楽しんでもらうための環境づくりに主眼をおいたものである。


 この条例は今議会で成立するだろうが、活かすも殺すも登山者の意識によるところが大きい。
 それは、登山者に課す義務は、条例があるないの問題ではないからだ。条例がなくても守って欲しい最低限のことではないか。

 条例成立によって、さらに信州の山岳における安全な登山な推進されることを切に願う。


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COMMENT
[1] 続報 | 2015/12/17 21:08
本条例は、平成27年12月11日、長野県議会で可決成立しました。
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