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検証 学習院大阿弥陀岳遭難事故②

 今年2月、学習院大学山岳部の学生二人が、八ヶ岳連峰の阿弥陀岳で遭難し亡くなった事故について、11月14日付けブログ「検証 学習院大阿弥陀岳遭難事故①」でお伝えしましたが、その続報「その②」を掲載します。
 山行2日目、彼らはどのように考え、どう行動したのか?

前号①の続き)

 おことわり、実際の報告書では全て実名で表記されていますが、本ブログでは個人のプライバシーに配慮し次のとおり表記します。ご了承ください。

 5人パーティーの主将で4年の男子学生をCL、2年の男子学生のサブリーダーをSL、もう一人の2年の男子学生をA、1年の男子学生をB、1年で唯一の女子学生をC。


【行動】(第2日目)平成27年2月9日

5:45 ストーブのガスが尽きたので、固形燃料で出発前最後の暖をとる。朝食はなし。

6:00 出発準備。天気予報が聴けなかったが、7日時点の予報では、晴れるが風が強いと確認していた。

7:00 出発。南稜へ向け登り返しを始める。
天気は晴れ、樹林帯のためか風はほとんどなかった。

CL及びSLの足の感覚は無くなっていた。
CL「手は調子が悪く、足は感覚がない」と発言。CLとSLは、Aから毛手袋を片方ずつ借りる。

SLは、隊員がここまでそれなりに元気に登っていたので、南稜を進み阿弥陀岳を越えられると考えていた。

9:30 南稜正規ルートに合流。立場岳付近と思われる。
トップAは、南稜のトレースに従いひたすら行動。SLは、トレースと合流地点でかなり高度を稼いだ感覚があり、頂上が近いと実感。

青ナギの下りの途中で、BがCLに「このまま下るのですか」と尋ね、CLは「阿弥陀岳まで登り返すよ」と答える。

11:00 青ナギ付近で休憩。各隊員のレーションはほとんどなく、各自の判断で食べていた。

SLはCLからカロリーメイト1/4とハチミツ一口をもらう。
飲み物は冷たかったのであまり飲まなかった。
Cは頂上までどれくらいか尋ね、SLは「まだまだ」と答える。

トレースを辿り、赤旗を確認しながら進むが、Cのペースが一気に落ちる。

13:00 無名峰の先に到着。SLとCは30分遅れる。

Cは遅れていたが疲れたとの発言はしなかった。
風は強まり曇り始める。太陽は見えなくなり体感温度が下がる。

CLの指示で、アイゼンとハーネス装着するが、CLとCのハーネスのバックルが凍結して使用できず、ロングスリングと安全環付カラビナでハーネスをつくる。

CLとCはコンテニュアス開始。他はアイザイレンはせず。

生還した三人の時計は、SLはザックの中、Aは故障、Bはテントに忘れたため、以下は推測の時間となる。

15:30頃 SL、A、BがP3に到着。CL、Cは30分遅れ。
C「ここを登ったら頂上ですか」、SL「ここじゃないよ」

CLとCがコンテニュアスでP3へ取り付き、P3のルートを確認し、CLが「このまま行こう」と判断。
あとの三人は、ロープ無しで取り付く。

ルンゼに回り込むところは岩場が狭く、Cは少し疲労していた。
ルンゼの中に入ったとき、Cの靴が脱げかけていた。Cは靴を履こうとしていたが、コンテニュアス状態のため、C自身がロープに体重をかけて靴を履ける状況でなかった。

夏道北稜8089CLは、急なルンゼで全員が止まった状況は危険と感じ、SL、A、Bに、先にルンゼを抜けるよう指示。A、Bの順にCLらを抜き、SLも続いた。
「このままでは危険すぎる。お前たちは先に行き、頂上に出たら、中岳沢の夏道を使って行者小屋に降りろ」とCLが指示。

ルンゼを抜ける際、Aが振り返ったときはCは既に靴を履き直し登り出していた。
その後、先行した三人は二人を見ることはなかった。

16:30頃 先行する三人が阿弥陀岳頂上に着。8日より視界は良く、8日に登った北稜の最後の雪稜が確認できた。

行者小屋までの下降ルートを検討。8日、中岳沢と立場川本谷を間違えた不安と、自分たちのトレースが北稜に残っている可能性から北稜を選択。

岩場を右から迂回。岸壁の少し下で25m懸垂下降。樹林帯に入り30分くらいヘッドランプを点ける。コンパスを行者小屋に合わせ下るとすぐに行者小屋の水場を目視できた。

18:00 テントに到着。隣の東京農大山岳部に現在の時刻を聞く。

暖を取り凍傷箇所を確認。SL、Bの状態が特に悪いと感じぬるま湯で温める。

19:45 二人の安否が心配で監督に連絡も繋がらなかったため登山本部に連絡し詳細を報告。
 後方の二人との差が1時間から1時間半程度と考えていたためこの時間になったようだ。

21:40 監督と連絡が取れ状況説明。監督「2回目のビバークになるため、OB会の会長らと相談し、長野県警へ救助要請。家族への説明

OB、部員6名が深夜に八ヶ岳へ向かう。

(次回③へ続く)


注)これまでの関連ブログ
 ★八ヶ岳で学習院大パーティー遭難か
 ★学習院大の二人は雪の中から発見
 ★学習院大しっかり遭難事故を検証すると


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